プロテインにはどんな種類があるの?初心者向けプロテインの基礎知識と選び方

カラダづくりのための最もオーソドックスなサプリメントである「プロテイン」。

プロテインを活用することで筋トレの効果をさらに高めてくれます。しかし、筋トレ初心者にとってプロテインは未知のもの。

数ある中で、どんな商品を選べばいいか悩んでしまうこともあるでしょう、今回は、プロテインとはどんなものなのか、そしてどんな商品を選べばいいのかを徹底解説いたします。 

まずはプロテインを知ろう

プロテインは筋トレが好きな人が飲むもの?」いいえ、違います。
実は、プロテインは皆さんが日ごろから摂取している栄養素の一つなのです。

プロテインとは3大栄養素の一つ「たんぱく質」のことです。たんぱく質は英語で「Protein(プロテイン)」といいます。

たんぱく質は筋肉の元となる栄養素として知られていますが、そのほかにも皮膚や髪の毛、爪などのカラダの材料になったり、代謝を調整する酵素やホルモン、免疫力の働きなどにも大きく関わるなど、生きていくうえで欠かすことのできない栄養素なのです。

内臓も筋肉ですので、カラダ全体がたんぱく質でできているといえますね。

そのたんぱく質を手軽に摂取できるようにしたサプリメントが、プロテインパウダーなのです。

でも、食事で摂取できるのに、なぜサプリメントにして摂取する必要があるのでしょうか。

プロテインがサプリメントとして活用される理由

プロテインをサプリメントで摂取する理由は、「たんぱく質だけを効率よく摂取するため」です。

目標とするたんぱく質量を食事だけで摂ろうとすると、たんぱく質だけでなく糖質や脂質なども多く摂ることになってしまい、体脂肪の増加につながるなど効率が悪くなってしまうのです。

そのため、たんぱく質だけを効率よく摂るために、プロテインのサプリメントが活用されているのです。

また、飲みたいときにすぐに飲める、食事ができない状況でも栄養補給ができるという点でも、サプリメントが便利なのです。

プロテインの効果

プロテインの役割は、たんぱく質の摂取量を増やすことです。

では、たんぱく質の摂取量を増やすと、どのような効果が現れるのでしょうか。

筋肉の合成を促す(筋肥大しやすくなる)

プロテインを摂取する理由の多くは、筋肉を大きくすることです。

ボディメイクを行う場合、いつも以上にたんぱく質量を摂取する必要があります。

たんぱく質を多く摂取することで、トレーニングで刺激した筋肉を成長させることができるからです。

筋肉は常に合成と分解を繰り返しています。いかに筋肉の分解を抑え、合成を活発化させるかということが筋肉を増やすために必要です。

筋肉は筋トレなどの運動により受けた筋肉の線維(筋線維)の損傷を修復する際に、太く強くなっていきます。修復の際にたんぱく質が体内に溜まっていることで、効率よく筋肉がつくられるのです。

筋肉が合成できるように、常にたんぱく質をしっかり補充しておくことが大切です。

筋肉の分解を防ぐ(ダイエット時の筋肉維持)

ダイエット中は、食事制限などにより摂取エネルギーや、たんぱく質摂取量が少なくなります。エネルギー不足になると、少ないエネルギーを補うために筋肉を分解してエネルギーとして使ってしまうのです。

ダイエットで体重は落ちたけど、その減少は脂肪よりも筋肉だったということも。筋肉量が減れば基礎代謝量も落ち、太りやすいカラダになって“リバウンド”に繋がります。

ダイエット中であっても、たんぱく質を多く摂取し、筋肉量を維持・増加しなければなりません。

実際に、低炭水化物ダイエット(糖質制限ダイエット)でも、筋肉量を維持するためにプロテインが活用されることが多いのです。

特異動的作用によるダイエット効果

プロテインがダイエットで使われる理由の一つに、「特異動的作用(もしくは食事誘発性熱生産)」があります。これは食べた物を消化するためのエネルギー消費量のことです。

消化は、食べた物によって使われるエネルギー量が異なります。

脂質の場合は約4%、炭水化物が約6%の消費であるのに比べ、たんぱく質は約30%も消費されます。

例えば、摂取カロリーが1000kcalの場合、脂質では40kcal、炭水化物は60kcal、たんぱく質は300kcalのエネルギー消費となり、かなり差が出てくるのが分かります。

プロテインはたんぱく質なので、食事に置き換えて摂取することで消費エネルギーが増えるのです。

また、プロテインには腹持ちの良い種類があります。それらのプロテインは食事の置き換えに活用しやすく、糖質や脂質の摂取量を抑え、体脂肪の蓄積を抑えることができダイエットに役立ちます。

その他のカラダに与える嬉しい効果

プロテインは筋肉づくりだけでなく、疲労回復や美容にも効果的です。

研究では運動後にプロテインなどのたんぱく質を糖質と一緒に摂取することにより、何も摂取しない時に比べ筋肉のエネルギーとなるグリコーゲンの回復や筋肉の合成が活発になり、疲労を回復させる効果が高いと報告されています。

筋トレをしている人はもちろんですが、疲れやすい人や肉体労働の人にとってもプロテインは役立つのです。

また、プロテインは女性にとっても効果的です。

プロテインの中には女性ホルモンの働きを助けるイソフラボンが多く含まれているものもあり、ホルモンバランスが整うことで細胞の代謝が活発になり美肌や髪、爪のトラブルを防いだり、ホルモンバランスの崩れから起こる更年期障害や骨粗鬆症など、女性に起こりやすい疾患を予防することにもつながります。

プロテインの種類

プロテイン商品にはいくつかの種類があります。

代表的なものとしては

・ホエイプロテイン
・カゼインプロテイン
・ソイプロテイン

が挙げられます。

まずはこの3つの種類で分けて説明していきます。 

筋肉づくりに効果の高いホエイプロテイン

「ホエイプロテイン」は牛乳から作られている動物性たんぱく質のプロテインです。

「ホエイ」とは乳清のことで、牛乳から脂肪分やカゼインと呼ばれるたんぱく質を除いたものを指します。

牛乳の約3%がたんぱく質で、その3%のうち約20%がホエイたんぱくです。1リットルの牛乳の中に、ホエイたんぱくは6g程度しか含まれていないということになります。

このホエイを集めたものがホエイプロテインです。プロテインの効率の良さがわかるのではないでしょうか。

ホエイは体内への吸収が早いのが特徴です。また、筋肉への利用率が高く、効率よく筋肉になってくれるプロテインといえます。

【ここで注目!】ホエイプロテインを製法で分けてみる

ホエイプロテイン商品を細かく見てみると、製法に違いがあることに気がつきます。それぞれどんな違いがあるのでしょうか。

WPC製法

ホエイプロテインの基本的な製法が「WPC製法」です。

ろ過の精度が低いため、たんぱく質だけでなく糖質やビタミンなども含まれています。

比較的低価格の商品が多いですが、かといって商品の品質が悪いということではありません。

初めてのプロテインとして活用しやすいプロテインです。

WPI製法

「WPI製法」は、たんぱく質を抽出する際に細かくろ過をする製法です。

プロテインや牛乳を飲むと腹痛や下痢など、お腹の調子が悪くなるという人もいます。

これは牛乳に含まれている“乳糖”という成分が原因です。この乳糖を摂取した時に起こるお腹の症状を「乳糖不耐症」といいます。

WPI製法は乳糖がほとんど取り除かれ、乳糖不耐症の症状が出にくい製法です。

牛乳を飲んでお腹が痛くなったり緩くなる方は、WPI製法のプロテインを選ぶとよいでしょう。

また、細かいろ過により、たんぱく質以外のものは極力排除されます。

たんぱく質だけを摂りたいというストイックな方向けの商品ともいえるでしょう。

WPH製法

「WPH製法」は、WPI製法よりもさらにろ過の精度を高めた製法です。

酵素の力により部分的に消化された状態となっており、消化吸収スピード速いのが特徴です。

たんぱく質の含有量が多い商品も多く、高品質のプロテインです。

CMF製法

「CMF製法」は、WPC製法とWPI製法の両方の良い部分を合わせた製法です。

乳糖や脂質などの不要なものを極力排除した後、筋肉づくりに必要なアミノ酸やビタミンを配合した高品質のプロテインです。

ゆっくり吸収されるカゼインプロテイン

「カゼインプロテイン」もホエイプロテイン同様、牛乳から作られています。牛乳に含まれるたんぱく質の約80%がカゼインたんぱくです。

カゼインプロテインの特徴は、固まりやすいということ。そのため、腹持ちが良く、ホエイプロテインに比べ体内への吸収スピードが遅く、時間をかけてたんぱく質を補給することができます。

動物性たんぱく質にはない効果を得られるソイプロテイン

「ソイ」とは大豆のことで、「ソイプロテイン」は大豆から作られているプロテインです。最近ではソイを使ったプロテインバーなど、健康食品が多く発売されています。

ソイプロテインの特徴は、カゼインプロテイン同様、体内への吸収スピードが緩やかであることです。食物繊維が豊富で腹持ちが良いためダイエット目的として活用されることが多いプロテインです。

また、ソイプロテインは大豆に含まれているイソフラボンを効果的に摂取できるため、美容にも効果があり、女性向けの商品として多く販売されています。

プロが教えるプロテインの選び方

メーカー、種類、味、プロテインは色々な商品が数えきれないほど販売されています。その中から「どのプロテインを選べばいいかどれかわからない…」と悩む人も多いようです。

そんな人は、ここをチェック!プロが教えるプロテインを選ぶポイントを紹介していきます。

目的に合ったものを選択すること

まずはプロテインを摂取する目的から選び方を見てみましょう。

筋肉量を増加させたい!

体脂肪などの余分なものは増やさず、筋肉量だけを増やしたいという人は、

・ホエイプロテイン
・たんぱく質含有率(たんぱく質の比率)が高い商品
・筋肉の成長を促すBCAAやグルタミンなどのアミノ酸を配合

を選びましょう。

たんぱく質含有率とは、一回あたりの摂取量のうち、どのくらいの割合でたんぱく質を摂取できるかということを表した数字です。

例えば、たんぱく質含有率が80%の場合、100g摂取すると80gたんぱく質が摂取できるということです。

同じ量を飲むのであれば、たんぱく質含有率が高いほうが多くのたんぱく質を摂取できる=効率が良いといえるでしょう。

商品の中には、アミノ酸などを追加配合しているものもあります。それらの商品は、値段が高めですが筋肉づくりの効果は高いといえるでしょう。

ダイエットしたい!

ダイエットを目的としてプロテインを選ぶ場合は、

・カゼインプロテイン
・ソイプロテイン
・たんぱく質含有率が高く脂肪や糖質がほとんど含まれていない
・+αとして脂肪の燃焼に効果が高いカルニチンやビタミンなどが配合されている

を選びましょう。

ダイエット目的でプロテインを活用する場合は、カゼインプロテインやソイプロテインがオススメです。ホエイプロテインは吸収速度が速いので、腹持ちが悪く空腹感を感じやすくなるからです。

カゼインプロテインやソイプロテインのなかでも、たんぱく質含有率が高く脂肪や糖質がほとんど含まれていない商品を選びましょう。

ダイエット中の栄養バランスの崩れを防ぐためにビタミンや鉄分を配合したり、ダイエットのサポートとなる栄養素であるカルニチンを配合したり、美容のためにコラーゲンを配合したりなど、ダイエット用のプロテインには様々な栄養素が追加配合されているものがあります。

+αで配合されている栄養素もチェックしてみるとよいでしょう。

とにかくカラダをデカくしたい!

「カラダを大きくしたくても全然大きくならない…」「太りたくても太れない…」という場合は、

・ホエイプロテイン
・たんぱく質含有率よりも糖質の多さ

を選びましょう。

「ウエイトゲイナー」と呼ばれるプロテインは体重を増やすためのもので、たんぱく質含有量はそれほど多くありませんが、その代わりに糖質が多く含まれており摂取カロリーを一気に増やすことができます。

ただし、筋肉だけを増やしたいという人にはオススメできません。体脂肪もつきやすいからです。単純にカラダを大きくしたい!太りたい!という人だけが、ウエイトゲイナーを活用しましょう。

プロテインを選ぶ際はこんなところもチェックしてみよう!

目的である程度商品を選択できたら、こんな点もチェックしてみるとよいでしょう。

値段・コストパフォーマンス

プロテインも運動同様、継続しなければ効果は現れません。長期的に続けていくには「値段」も大きなポイントになります。

商品を比較する場合、たんぱく質1gあたりの値段を計算して比べてみましょう。1gあたりの値段が安ければコストパフォーマンスが高い商品といえます。

コスパで考えるなら、海外製のプロテインがオススメ。また、購入する店舗(ウェブサイト)によっても値段が大きく異なるので、店舗や公式サイトだけでなく、安く購入できるところを探すようにしましょう。

フレーバー(味)

値段同様、飲み続けるために重要なのが“味”です。最近は色々なフレーバーがあり美味しい商品が多く販売されています。

気になった商品があれば、初めは内容量の少ないものを購入してみて、味を確かめてみましょう。

プロテインの効果的な摂取量

筋肉を効率よく増やすためには、体重1kgあたり2gのたんぱく質が必要です。仮に体重が60kgだった場合は、1日当たり120g~がたんぱく質の摂取目安となります。

プロテインだけでその量を摂取する必要はありません。食事で摂取するたんぱく質量を計算し、それ以外で不足している分をプロテインで補うようにしましょう。

まとめ

・プロテインとはたんぱく質のこと
・プロテインは筋肉づくりのために摂取するもの
・プロテインにはそれぞれ異なる特徴がある 目的に合ったものを選ぶこと
・筋肉づくりに効果的なのは「ホエイプロテイン」
・ダイエットに効果的なのは「カゼインプロテイン」「ソイプロテイン」
・「ソイプロテイン」は女性にもオススメ
・プロテインは続けることが重要 コスパや味にも注目して
・たんぱく質は1kgあたり2gの摂取を 普段の食事に追加してプロテインを活用しよう!


執筆:和田 拓巳 TAKUMI WADA
編集:中尾友一

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ABOUTこの記事をかいた人

和田 拓巳 TAKUMI WADA

プロスポーツトレーナー歴 19年
プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院勤務で得たケガの知識を活かし、リハビリ指導も行う。医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。

現在、様々なメディアで執筆活動・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信中。
2021年11月 著書「見るだけ筋トレ」(青春出版社)発刊予定。